人類は衰退しました 2田中 ロミオ
小学館 ガガガ文庫 ガた1-2(2007/12/23)
ISBN 9784094510443
¥630(税込)
ゲームのシナリオライターの中で、という限定的な条件下では最も好きな文章を書く田中ロミオの小説デビュー作。
ロミオ節と呼ばれる独特の言い回し(注:下ネタを多数含む)がコアなファンを引き付けて止まないのだが(思えばCROSS†CHANNELを渡してくれたのはロミオ節に大爆笑していたZONA氏だったな)、流石に小説ともなると中学生、高校生の読者(及びその保護者)を意識してかその辺はぐっと控え目に抑えてある。
その分、ストーリーや世界背景の妙がストレートに伝わって来て(と言っても其処は流石に田中ロミオ、読み進めて行くと混乱するような複雑な筆致は健在である……ただ単に読解力の問題なのかもしれないが)私としてはこちらの方が好きだな。
来るべき未来、加速度的な人口減少の結果、人類は万物の霊長たる地位を明け渡し、楽隠居的生活でのほほ〜んと、種としての衰亡の時を迎えていた。
そして新たな人類として地球上に君臨するのが、平均身長10Cm、3頭身のコロボックル「妖精さん」なのである。
しかもこの妖精さん、どうやら人知の及び付かない存在であるらしく、とても高度な知的種族である事以外はその生態や行動原理は殆ど不明。
旧人類の科学や物理法則を超越したオーバーテクノロジーで以って全く無意味な(旧人類にとってだが)騒動を巻き起こした挙句離散して行くという……そんな世界で新旧両人類間の調停役として働く主人公(現在のところ名無し)の折衝と称した介入、及び発生する事件を描いたコメディ。
大きく分類すればSFって言って良いんだろうなぁ、児童文学調ではあるけれども。
一晩でスクラップの山がメトロポリスに変化していたり、ペーパークラフトで生命の進化を再現してみたり(しかも紙工作自体が自立する!)、人類の知性を粉末の成果材料に変化させるスプーンや食べると必ずタイムスリップするバナナを作ってみたり。
あっれーおっかしいなぁ、どれも科学的物理学的視点から考察するととんでもない代物なのに、如何してこんなにほのぼのしてしまうんだろう?
と、まぁ全編が緩い感じで進んで行くのだが、これはこれで素晴らしく素敵な作品であると思う。
もうラノベの新シリーズを買うことは無いと思っていたんだけどなぁ……これはある意味別格。

